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2006年9月11日

: 女教皇ヨハンナ

ドナ・W・クロスの「女教皇ヨハンナ」は、9世紀に存在したと言われている、女性の教皇の生涯を描いた小説である。 このヨハンナは、女性が抑圧されて生きていた時代にもかかわらず、男装してはいたものの、最終的には教皇の地位にまで上り詰めたとされている人物だ。 しかも、最後は子供を身ごもり、出産したことで男装がばれ、直後に死んでしまうと言うドラマチックな人生を過ごしたそうだ。 タロットカードの一つに「女教皇」があるが、それはこのヨハンナをモデルにしているとさえ言われている。 この小説では、出来るだけ事実を基にしながら、ヨハンナの生涯を脚色して描いている。

この小説を手に取ったのには二つ理由がある。 まず、これを買ったときにちょうどダ・ヴィンチ・コードを読んでいる途中だったのだが、その隣に並んでおり、同様にキリスト教のタブーを扱った小説であったからだ。 これには私の歴史小説好きも関係しているだろう。

もう一つの理由は、実は私はかなり前から一つの小説を構想していて、その主人公の一人が大出世を遂げる女性、と言う設定だったからだ。 まあ、構想というのも気恥ずかしいほどで、ほとんど何もない状況なので、その立身出世がどのように行われるのか、ヒントになるかもしれないと思って読んでみたのである。

このヨハンナの性格は賢く、そして非常に好奇心が強いと言うことになっている。 やはり、知識を得るためには意欲を持たなくてはならないということか。 時に好奇心が強すぎて、余計な発言をしてしまうなど、作者がヨハンナを出しゃばりとして描こうとしているのか、物事に積極的な人物として描こうとしているのか、よくわからなくなる部分もあった。 後書きにある著者の言葉を借りれば、「強い意志をもって夢を追いかける女性には必ず道が開けた。本書はそうしたある女性の物語である」となっているので、きっと後者であるのだろう。 前者のような印象を持ってしまうのは、もしかしたら、私が男で心の中で差別的な意識を持っているからなのかもしれない。